経済学部のみなさん、他学部から聴講のみなさん、森本裕の授業へようこそ。新しいことを学ぶのを楽しみにしていることでしょう。授業を受ける前に知っておいてほしいことを書いてありますので、事前に一読しておいてください。それでは、15週間よろしくお願いします。

授業の方針・目的

個別の経済現象や社会問題ではなく、それらの背後にある経済構造の分析を中心に講義を進めます。不作で野菜が高くなる、外国人が増えてホテルが高くなる、人手不足で賃金が上昇する。これらの価格変化が生じる原因は個別にみれば、それぞれ全く別個のものです。しかし、「需要>供給」という共通の経済構造が背後にあります。より一般的で広く通用する構造を理解しておくことによって、みなさんが将来直面する課題に対処する能力が大きく向上します。

授業時間外にすべきこと

1.社会に関心を持つこと

経済構造が講義テーマだと書きましたが、一般的・抽象的になりすぎないように、ニュースで話題になっている事例を用いて解説をします。身近な事例で分かりやすくしているわけですが、取り上げた事例について全く知らないという学生がたまにいます。例えば、地域間格差や地方の衰退について説明をするときに、「東京の所得は日本一である」という背景知識を知らなければ授業を理解することができません。ですから、日ごろから社会に関心をもって、ニュースから情報を収集しておく必要があります。

 

2.復習

ほとんどの学生にとって、授業で扱う内容は日頃考もしなかったものでしょう。また、説明される経済理論はみなさんが直感的に理解していることとは違っていることでしょう。授業を聞いた直後はなんとなく理解したつもりになっていても、後になってノートや教科書を読み直してみると説明が分からなくなっていることがほとんどです。そうならないために、授業が終わったらできるだけ早くノートの整理をしたり、要点をまとめたりするようにしましょう。

入門ミクロ経済学(1回生向け)

経済学は「需給に始まって需給に終わる」というぐらい、需要と供給が大切です。需要とはモノを欲しがっている人がどれだけいるかを表す用語です。暑ければアイスを食べたい、流行のブランドが欲しい、便利なところに家を買いたい、といった消費者の欲求が需要として現れてきます。ですから、どのような要因によって需要が決まるのかを人々の行動に基づいて考えます。供給とはモノを売りたがっている人がどれだけいるかを表します。モノを売るのは基本的には企業ですので、どのような要因によって供給が増減するかは企業の行動に基づいて分析します。そして最後に、需要と供給が一致する市場均衡で価格がどのようになっているかを明らかにします。

 この講義全体を通して、経済学の基本的な考え方を身に着けてもらうことを目指しています。みなさんの印象と違って、経済学はバーチャルな世界を相手にします。消費者は自分の満足度を最大にする、企業は利潤を最大にする、といった「設定」の上に成り立つ世界です。この、仮想世界を相手にするというところが経済学のクセなのですが、1回生のうちに慣れてもらえればと思います。

産業経済(2回生以上向け)

産業に関する分野は産業組織論と産業立地論に分かれますが、本講義では後者を取り扱います。企業の経済活動はどこに集積するのか?人々は居住地としてどこを選択するのか?といった問いを考えます。東京への一極集中も地方の衰退も、経済活動の立地の問題です。東京では経済活動が活発である一方で、地方では経済の活力がないということです。地方創成や地域活性化は、経済活動が生じる場所を移動させることに他なりません。

 

本講義では、経済活動が集中する地点の特性について検討します。生産規模が大きいほど単位生産コストが低下するという「規模の経済」、労働市場が厚みを増せば労働者と企業の組み合わせが適切になるという「マッチング問題」、多様な財が手に入る大都市に住みたいという消費者の「多様性選好」、企業同士が接近することにより取引コストが低下するという「コミュニケーション外部性」などの概念を分析の手がかりとして使うことができます。このようにして集中の原因を解明したうえで、様々な特徴を持つ地域を活性化する方法を見つけ出すことを目指します。

ゼミ

森本ゼミでは、経済活動の地理的分布について研究します。具体的には、工業地帯、学研都市、高級住宅地、スラムのように同種の企業や個人が集まっている地域を対象とします。このような地域的な集積が形成されるメカニズムについて研究し、地域社会の発展に役立てることを目的とします。

 

初めの1年間は、研究ツールとして理論経済学と計量経済学を学習します。まず、企業や個人といった経済主体の行動をモデル化し、その行動原理を検討します(理論経済学)。そして、得られた理論的な結論が現実社会を適切に説明できているかを、データを用いて検証します(計量経済学)。

 

分析の基礎を身に付けた後、数人のグループごとに関心のある研究テーマを設定し実際に研究を行います。インゼミ大会で研究成果を報告することを目標に頑張ります。さらに研究を続けたい学生は卒業論文を執筆し、4年間の集大成とすることができます。

 

森本ゼミに関心がある学生は、こちらから詳しい活動内容をご覧ください。