経済学を学んでみたいけれども、どこからどうやって勉強すればいいか分からない方もいるかと思います。あるいは、学び始める前に準備をしておきたいということもあるでしょう。ここでは、経済学の勉強をスタートしたい方に第一歩の踏み出し方をお教えします。

 

目次:

1.どんな人が経済学に向いている?

2.どんな教科書がいい?

3.どこで経済学を勉強できる?

4.どんなことを事前に知っておけばいい?

1.どんな人が経済学に向いている?

 経済学は、人間の活動が織りなす社会について研究する学問です。ですから、世の中で起きている現象に対する関心は非常に重要です。ニュースを見るのが好きだったり、政治を面白いと感じるような人は経済学に向いていると言えるでしょう。

 

経済学は社会の仕組みを整えてることで、世の中をよりよくすることを目指しています。社会の現状にに疑問や不満を持っているということは、学ぶ上で大きな原動力になりえます。「この問題を解決するにはどうすればいいだろう?」という意識を持っていれば、楽しく勉強できるはずです。

 

また、経済学では人間の行動原理に立ち返って社会の構造を解き明かします。人間は誰しもが自らの幸福を追求しているわけですが、その追及の結果として発生する出来事に注目しているのです。なので、自分とは違った行動をする他者に好奇心を抱いている人も経済学に向いています。

 

さらに、自分の意思決定や行動選択をより合理的に行いたいと考えている人にも経済学をお勧めします。これまで感覚的にしていたことが経済理論によって正当化されたり、あるいは逆に、自信をもって決めたことが実は合理的でなかったということもあります。現代の社会では合理性は重視されますから、上司や取引先、あるいは友人を上手に説得できるようになりたいという人も経済学を勉強するとよいでしょう。

2.どんな教科書がいい?

「入門」と書いてある教科書の大半が難しすぎることに、みなさまお困りでしょう。いわゆる入門というのは、学部1回生を対象としているという意味なのですが、どこの大学のかというと旧帝大クラスを想定しているのです。ですから、普通の人がちょっと勉強してみようというのでは難しすぎるのです。

 

逆に、ビジネスコーナーに置いてある自己啓発ものは経済学とは言えない内容なので、経済学を勉強するには向きません。しかも、ジャーナリストや評論家が書いているような本はストーリーとしては面白いのですが、学問という点では全く使えません。

 

なので、初学者向けの、しかも独学できるレベルで、それでいて学問として経済学を正しく扱っている教科書をご紹介します。

 

・有斐閣ストゥディア

有斐閣が「その学問と高校までの知識とがどう結びつくのかを理解しながら,じっくり思考を深めるためにまず手にとってほしい1冊として,2013年に刊行開始しました。」という目的で出版しているシリーズものです。経済学の諸学者向けに書かれていて、常識的な感覚に基づいた説明が分かりやすいです。

 

 

・心と体にすーっとしみこむミクロ経済学(市野泰和著 有斐閣 2015年)

ミクロ経済学のうち、完全競争均衡までを扱った教科書。まず消費者の需要行動と企業の生産行動を考え、それから商品の売買の場である市場について検討します。需要と供給が釣り合うところである市場均衡で、「価格がどうなっているのか?」「取引量はどのくらいなのか?」といったことを学びます。

 

生活実感や常識を基にして、経済理論やその結果が意味するところを解釈します。漠然と普段考えていたようなことをすっきりとまとめてくれ、「なるほど。そういうことだったのね。」という読後感がある教科書です。

 

・アメリカの高校生が学ぶ経済学(ゲーリー・E・クレイトン著 WAVE出版 2014年)

アメリカで経済学に関心がある高校生に向けて書かれた本。高校までの知識を前提として、身近な経済について学んでいきます。教科書というよりも、読み物といった一冊。経済学の基礎概念から始まって、需要と供給の市場分析(第2部:ミクロ経済学)、政府と貨幣・金融(第3部:マクロ経済学)と進みます。第4部と第5部では景気安定化のための経済政策と国際貿易についてそれぞれ学習します。経済の主要分野を網羅的に扱っているので、経済学の概要を知りたい人におすすめです。

3.どこで経済学を勉強できる?

・大学

経済学を学ぶ場として最もポピュラーな場所は大学です。体系的に経済学を学びたいのであれば経済学部が(当たり前ですが)おすすめです。興味がある分野が決まっているのであれば、その分野の学部に入っても経済科目が開講されています。農学部では農業の流通について農業経済学がありますし、経営学部では産業組織論があります。教育経済学・医療経済学・政治経済学といった応用分野もそれぞれの関連学部で学ぶことができます。

 

・講演会

「経済研究所」で検索すると、日本中にたくさんの研究機関があることが分かります。このような研究所は、成果を公表するために講演会を開催していることがあります。独立行政法人である経済産業研究所(RIETI)ではシンポジウムやワークショップを開催しています。定期的にイベント情報を確認すると、興味があるものが見つかるかもしれません。

 

・動画サイト

Youtubeでは経済学の講義動画を視ることができます。池上彰さんのように著名な方も動画をアップしています。講義スタイルのものもあれば、テレビと同様にしっかりと編集されたものもあります。ほとんどの動画が初学者向けのレベルですので、気負わずに勉強を始めることができます。

 

また、討論番組のTEDでも経済が話題として取り上げられていることがあります。経済学者が講演していることがほとんどないのが難ですが、ビジネスマンの経済講演も役に立つことでしょう。こちらは経済学というよりも経済事情(経済時事)について知りたい人向けかもしれません。

4.どんなことを事前に知っておけばいい?

経済学が社会科学である以上、その分析対象である社会について関心を持っておく必要があります。世の中で起きている現象について分析するわけですから、その現象について何も知らなければ如何ともしがたいものがあります。したがって、毎日ニュースに目を通して、社会に意識を向けておくといいでしょう。

 

中級から先に進んでいくのであれば、数学を勉強しておく必要があります。経済学で使うのは微分(対数と積分も少し)だけですので、四則演算と微分だけを予習しておくといいです。高校の教科書レベルで十分ですので、あまり気後れしなくても大丈夫です。